医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている指導監査のコラムです。
ここでは、保険診療(指導監査と診療報酬請求)についてご説明を致します。 内容は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の公表資料「保健診療の理解のために」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談をお勧めします。個別指導、監査では、弁護士を立ち会わせるべきです。以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
指導監査のコラム
1 個別指導と監査の上手な対応法
第7 指導、監査について
1 指導とは
目的
「保険診療の取扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させること」
(指導大綱)
(健康保険法第73条)
保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。
厚生労働大臣の指導を受ける義務がある
指導後の措置(個別指導の場合)
概ね妥当 < 経過観察 < 再指導 < 要監査
2 監査とは
目的
「保険医療機関等の診療内容又は診療報酬の請求について、不正又は著しい不当が疑われる場合等において、的確に事実関係を把握し、公正かつ適切な措置を採ること」
(監査要綱)
3 不正請求
詐欺や不法行為に当たるもの
その月に受診していない患者の保険証番号を使って前の月と同じ内容の診察を請求した。
→ 架空請求
一か月に2回しか診察していないのに再診料を4回請求した。
→ 付増請求
実際に行った創傷処置が50cm2であったにもかかわらず請求は500cm2〜3000cm2で行った。
→ 振替請求
4 不当請求
算定要件を満たさない等、診療報酬請求の妥当性を欠くもの
(例1)
診療録に腫瘍マーカーの検査結果・治療計画の要点を記載していないにもかかわらず、悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定している。
(例2)
専ら画像診断を担当する医師が読影していないにもかかわらず、画像診断管理加算を算定している。
(例3)
診療録にモニターの要点を記載をしていないにもかかわらず、呼吸心拍監視を算定している。
5 健康保険法上の処分の基準
監査要綱
保険医登録・保険医療機関指定取消処分の基準
故意に不正又は不当な診療(診療報酬の請求)を行ったもの。
重大な過失により、不正又は不当な診療(診療報酬の請求)をしばしば行ったもの。
故意でなくとも、重大な過失が認められれば、 健康保険法上の処分の対象となりうる。
6 監査後の措置
行政上の措置
保険医療機関・保険医の
指定・登録の取消(取消処分)
戒告
注意
取消処分となった場合原則として、5年間は再指定・ 再登録を行わない
経済上の措置
診療内容または診療報酬の請求に関し不正、不当の事実が認められた場合、原則として5年間分を返還する。最大40%の加算金が加えられることもある。(健康保険法第58条)
7 平成27年度の指導、監査等実施状況
監査を受けた保険医療機関・保険医等
90施設 181人
登録・指定の取消(取消相当含む)を受けた保険医療機関・保険医等
37施設 26人
個別指導、適時調査、監査により返還を求めた金額は約124億4千万円
(厚生労働省発表 医科・歯科・調剤を含む)
8 社会保障の費用と財政
平成26(2014)年の日本の社会保障給付費は、1年間に約115兆円。
(2014年予算ベース)
そのうち約半分が年金で、約3割が医療、約2割が福祉。
社会保障の財源は、社会保険料が59.9%、公費負担が40.1%を占める。
(その他、積立金の運用収入等。)
平成28年度一般会計歳出において、社会保障のための歳出(32.0兆)は最大で、公共事業・防衛・教育科学の費用の合計(16.4兆)を上回る。
国の財政は、24兆円の借金を返しながら新たに34兆円の借金をしている状態。
社会保障は財政に大きく影響しており、効率化が求められている。
9 診療報酬請求における留意点
保険医と保険医療機関は、診療報酬のルールをよく理解し、勝手な解釈に基づいて請求しない。
分からない場合は診療報酬点数表を確認する。それでも分からなければ厚生(支)局に問い合わせる。
厚生(支)局が実施する説明会や指導に出席する。
個別指導、監査に望む医師の方は、お電話を下さい。個別指導、監査への対応方法をアドバイス致します。
指導監査のコラム
指導監査のコラムです。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。
保険診療と指導監査のコラム
1 保険診療と指導監査(1):保険診療の仕組み
2 保険診療と指導監査(2):医師法・医療法・医薬品医療機器等法
3 保険診療と指導監査(3):療養担当規則の概説
4 保険診療と指導監査(4):診療録(カルテ)の留意事項
5 保険診療と指導監査(5):入院基本料、看護要員配置の保険請求
6 保険診療と指導監査(6):がん患者指導管理料、在宅医療
7 保険診療と指導監査(7):投薬、後発医薬品の保険請求
8 保険診療と指導監査(8):手術、先進医療の保険請求
9 保険診療と指導監査(9):診断群分類の保険請求と給付調整
10 保険診療と指導監査(10):指導、監査と診療報酬請求
保険医取消の実例紹介のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期